2007年11月16日

教育実習の決めて・勘どころ

今年の春に参加した、研究会の例会でのレポートです。
今後もこのようなレポートをこちらで記録していく予定です。


第146回 ASTE 例会
講演:「教育実習の決め手・勘どころ」
講師:菅正隆(国立教育政策研究所・文部科学省)
日時:2007年4月14日(土)15:15〜16:45
場所:上智大学3号館227教室


ASTE(上智大学英語教員研究会)に参加してきました。今回は、学生の教育実習事前授業と兼ねていたので、教育実習へ行く前に確認しておくべき課題や、授業で役立つアクティビティの紹介といった内容でした。

【英語教育の現状と課題】
英語教育関連資料として、まず、平成17年4月22日、国立教育政策研究所発表の「平成15年度教育課程実施状況調査(中学生)」と、平成19年3月3日、文部科学省初等中等教育局国際教育課程発表の「平成18年度英語教育改善実施状況状況調査」を見ていきました。

前者の調査のうち取り上げられていた項目は4つで、それぞれ「英語の勉強は好きだ。」「英語の勉強は大切だ。」「英語の授業がどの程度分かりますか。」「授業がどの程度分かりますか。」です。
 「英語の勉強は好きだ。」の項目では、回答を「そう思う」「どちらかといえばそう思う」「どちらかといえばそう思わない」「そう思わない」「分からない」から選択しています。結果、学年が上がるに従って、英語の勉強が好きだという「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の回答率が低下し、逆に英語が好きでないという「どちらかといえばそう思わない」「そう思わない」の回答率が上昇しています。特に第1学年と第2学年での差が大きく、2年生になって英語が嫌いになるというパターンが多いのではないかと考えられます。
 「英語の勉強は大切だ。」の項目でも同様に、回答を「そう思う」「どちらかといえばそう思う」「どちらかといえばそう思わない」「そう思わない」「分からない」から選択しています。第1学年と第2学年を比較すると、英語の勉強が大切だという「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の回答率が低下し、逆に大切だとは考えない「どちらかと思えばそう思わない」「そう思わない」の回答率が上昇しており、これは「英語の勉強が好き」という項目と同じ傾向です。ところが第2学年と第3学年を比較すると、第1学年での回答の割合までは及びませんが、英語の勉強が大切だとする回答が増え、大切でないとする回答が減っています。これは恐らく、英語の勉強は好きではないが、受験勉強で英語が必要となったという状況による結果ではないかと考えられます。
 「英語の授業がどの程度分かりますか。」の項目では、回答を「よく分かる」「だいたい分かる」「分かることと分からないことが半分くらいずつある」「分からないことが多い」「ほとんど分からない」から選択しています。英語の授業がわかるという「よく分かる」「だいたい分かる」の回答率は学年が上がるに従って低下していき、逆に「分かることと分からないことが半分ずつある」「分からないことが多い」「ほとんど分からない」の回答率が上昇しています。ここでも割合の変化を見ると、第1学年と第2学年の差が大きく、やはり2年生になると英語の授業が分からなくなるといった傾向が見られます。
 「授業がどの程度分かりますか。」の項目では、各教科(国語、社会、数学、理科、英語)ごとに「よく分かる」「だいたい分かる」「分かることと分からないことが半分くらいずつある」「分からないことが多い」「ほとんど分からない」から選択しています。今回は教科ごとの「分からないことが多い」と「ほとんど分からない」の割合を足したものが提示されていました。第1学年と第2学年を比較すると、全科目共通して、第2学年の方が分からない割合が高くなっています。しかし、その割合の上昇率は英語が一番です。さらに、第2学年と第3学年を比較すると、第3学年で、英語以外の4科目では分からない割合が低くなっている一方で、英語に関してはさらに高くなっています。英語は他の4教科に比べて理解しづらく、さらに他の教科に比べて受験勉強の成果が出にくいという傾向が見られます。

後者の調査からは「英語の授業における英語の使用状況」について取り上げ、中学校においては各学年ごとに、高等学校においては各科目ごとに4つの選択肢「英語の使用はほとんどあるいは全くない」「英語を用いることはあるが半分またはそれ以下である」「半分以上は英語を用いて行っている」「大半は英語を用いて行っている」から回答しています。
 中学校での各学年ごとの回答を見ていくと、各学年においても最も回答率が高いのは「英語を用いることはあるが半分またはそれ以下である」という回答で、学年が上がるのに伴い上昇しています。次に回答率が高いのが「半分以上は歯英語を用いて行っている」で、学年が上がるのに伴いその割合は低下しています。つまり、学年が上がるにつれて授業における英語の使用率は下がるのではないかと考えられます。
 高校での各科目ごとの回答を見ていくと、やはり英語を積極的に使うと予想される OCI と OCII で「半分以上は英語を用いて行ってる」「半分は英語を用いて行っている」の回答率が高く、それ以外の英語I 、英語II、リーディング、ライティングでは「英語を用いることはあるが半分またはそれ以下である」の回答率が著しく高く、「英語の使用はほとんどあるいは全くない」の回答率と合わせると約9割にまでなっています。OC の授業で比較的英語を使用する傾向にはあるが、英語の科目4つを全体的に考えると授業における英語の使用率が低い傾向にあることが分かります。

最後の資料として、高等学校(英語I)教科書難易度別採択数を平成17, 18, 19年度使用分で見ていきました。教科書はそれぞれ、難・中・易の3つの難易度に分けられています。すると年々教科書全体の総数が減っており、難と易の教科書がそれぞれ減少しています。中の教科書も平成17年度と18年度を比較すると18年度に減少しているのですが、19年度には増加し、これは17年度よりも増えています。割合で考えていくと、採択する教科書の難易度がだんだんと低くなっているのではないかと考えられます。

調査結果全体を通して考えられることは、生徒は中学2年生で英語が分からなくなり、その英語力は年々低下しているということだと思われます。

【教育実習以前の課題】
教育実習へ行く際に気をつけることが4つ挙げられました。「挨拶」「身だしなみ」「時間厳守」「他教員との関係」です。「他教員との関係」というのは、学校の考え方を理解し、そこに実習生独自の色を付けていく形で関わっていくということだそうです。これら4つのポイントは、教育実習に行くからというよりは、社会に生きる大人としての常識はしっかりと身に付けておかなければならないという当然のことだと感じました。

【授業以前の課題】
実際に授業に入る前の課題として、大きく4つ挙げられました。「目標を持つ」「必携アイテム」「声の大きさ」「目線」です。特に「目標を持つ」ということに関しては、2〜3週間のスパン、1日1日で、それぞれ目標を立てることが大切とのことでした。

【授業の課題】
実際の授業での課題となる点は、どれも重要ものばかりでした。「生徒名の記憶」「立ち位置」「黒板使用術」「ティーチャー・トーク」「褒め上手は授業上手」「学習指導案作成のポイント」「内容(音読、タスク、内容把握等)」とかなり実践的なもの、かつ、指摘されなければなかなか気が付かないものです。
 「生徒名の記憶」は、生徒と教師の関わり合いの中で大切なことです。自分の名前を知っているということで、生徒は先生が自分のことをちゃんと見てくれていると感じます。これは生徒の学習意欲へとつながる大切な要素だと思います。
 「立ち位置」では、生徒に余計なプレッシャーを与えないよう気をつけることが大切です。具体的に言うと、机間指導で上から見るといった行動は避けるということなどです。個人的に指導する際には目線を同じ高さにして、生徒を安心させることが大切です。また、生徒から意見や質問、発表などの発言があった場合には、その生徒のすぐそばで応対するのではなく、その生徒からなるべく離れて応答する方が、クラス全体に伝わります。
 「黒板使用術」は、別に特別なことをするというわけではありません。単に、生徒が見やすい板書を行うということです。文字の大きさ、色、まとめ方などです。事前に研究しておかなければ、その場になって初めてではなかなか上手く行かないとのことです。
 「褒め上手は授業上手」というのは、生徒の学習意欲を高めるという点においてとても重要です。きっと勇気がいったであろう生徒の発言に対し、先生はその発言や努力、またはその発言をする様子を褒め、生徒のさらなる積極性を促すべきということです。間違えても構わない、むしろ間違えた方がみんなの勉強になる、そういったことを生徒に知ってもらうことで、英語に対して変な壁を作らないようにすることが大切です。そうすることが、活発的な授業へとつながり、積極的な言語活動が行われるようになると考えられます。
 「内容」については、このあとアクティビティ例として具体的に紹介していきます。
いずれにしても、鍵となる考え方は「生徒の立場になって考える」ということです。

【アクティビティ例】 ※当日実際にパートナーと行いました

☆教科書の音読
パートナーとお互いに教科書の本文を読み合います。相互に評価し合うことによって、切磋琢磨していくことができます。

☆あいさつデモンストレーション
ダイアログは、一般的で簡単なものです。

A: Nice to meet you. I'm ____.
B: Nice to meet you, too. My name is ____.
A: Where are you from?
B: I'm from ____, Japan. How about you?
A: ____, Japan.
B: Oh, I see.


しかし、ただお互いに言い合うだけではありません。そこには、3つの条件があり、これを守らなければならないのです。1つ目は、握手をするということ、2つ目は、アイコンタクトをとるということ、そして3つ目は、2人の会話を5秒で終わらせるということです。実際にやってみると、5秒では到底終わりません。なので繰り返し挑戦していきます。1度目よりも2度目、2度目よりも3度目と、やっていくうちにだんだん時間に間に合うようになっていき、4度目くらいで多くのグループがクリアします。やればやるだけ上手くなる、という自信をつけることのできるアクティビティです。
実はこのアクティビティには裏があり、実はカウントをしている先生は、回数を重ねるごとに少しずつ時間を増やしていたのです。しかし、やっている側はほとんどそれに気がつきません。心理を上手く利用していると感じました。

☆発音クイズ
ミニマルペアの単語を使った発音クイズです。提示された2つの単語のうち、どちらが発音されたかを聞き取ってマークします。

(1) zen, then (2) closing, clothing (3) breeze, breathe (4) tease, teethe


最初はペアワークでお互いに出題者、解答者となり、全問終わったところで答えの確認をしていきます。そして今度は生徒のうちの一人に出題者になってもらい、他の生徒全員が解答者となって、最後に答え合わせをします。この際に気をつけることが出題者を褒めること。常に生徒のやる気を引き出すことを忘れてはいけません。

☆歌詞のディクテーション
今回は、DREAMS COME TRUE の "LOVE LOVE LOVE -English Version-" で行いました。全部で10カ所の空欄があります。空欄を作る際のポイントとしては、必ず一番最後の歌詞の中にも作るということです。そうしなければ、穴が埋まった安心感から、生徒がリスニングに集中しなくなることが予測されるからです。
さらに上級レペルの問題を作るとしたら、穴埋めでないところに1つ、実際には歌われていない単語を入れておくということです。そうすると、間違い探しのために、生徒はさらに集中してリスニングを行うことになります。

【質疑応答】
学生の中から次のような質問がありました。


立ち位置の話で、生徒から意見や質問などの発言があった際には、教師はなるべく生徒から離れてクラス全体に聞こえるように応答すべき、とありましたが、生徒が間違えてしまった場合みんなに知られて恥ずかしいと思ってしまうように考えるのですが。


これに対し、管先生は、次のようにおっしゃいました。


「間違えたら恥ずかしい」という考え方を生徒の中から取り除いてやることが教師の重要な勤めです。クラス全体に聞こえる場でのやりとりこそ、むしろ「間違いは決して悪いことではなく、逆にいいことだ」ということを提示する絶好の機会と考えます。


私も質問をした学生と同じように感じていたのですが、説明を受けて納得しました。

今回の講演を通じて、私が学校という場で教育を受けてきた中で、「当たり前」とされてきたことの恐ろしさと、それが学習にもたらしてきた弊害、そしてそれらは、教師が知るべき事実であり、さらに取り除くための努力をしていかなければならない、ということを知ることができました。これは、講演の冒頭で管先生がおっしゃっていたことなのですが、

EIGO(英語)から、I(愛)を取ると、EGO(エゴ)になってしまう。

まさにこれだと感じました。すべては生徒に対する愛だと思います。それがない教師は、ただ自分のエゴで生徒に授業を押し付けているだけではないでしょうか。
posted by ぴにゃ at 22:39 | Comment(676) | TrackBack(0) | 研究発表・講演会

地球ことば村フォーラム「CEFRと児童英語教育」

ブログを書く時間がなかなか見つけられません。
楽しみに待っていらっしゃる方々、どうか気長にお付き合いくださいますよう、
よろしくお願いいたします。


さて、明日は慶應へ行って参ります。

地球ことば村フォーラム
小学校英語教育ー是非の問いからその先へ (3)「CEFRと児童英語教育」
http://www.chikyukotobamura.org/forum/forum-top.html

posted by ぴにゃ at 21:49 | Comment(1040) | TrackBack(0) | 研究発表・講演会

2007年11月03日

上智大学応用言語学シンポジウム

明日、行ってきます↓





上智大学応用言語学シンポジウム

日時:2007年11月4日(日曜日)10:30〜18:30
場所:上智大学四ツ谷キャンパス中央図書館 921号室

上智大学国際言語情報研究所、上智大学言語学会、(株)ベネッセコーポレーション、ARCLE 共催で、「上智大学応用言語学シンポジウム」が開催されます。
・参加費無料
・事前申し込み不要

プログラム:
10:30-10:40 開会挨拶
10:40-11:40 基調講演
        吉田研作(上智大学教授)
        "International English and Communicative Ability"
11:40-13:00 休憩
13:00-14:30 特別講演
        メリル・スウェイン(トロント大学オンタリオ教育研究所名誉教授)
       "Languaging, Agency, and Collaboration
        in Second Language Proficiency"
14:40-16:40 シンポジウム
       "Reconsidering Objectives in EFL Contexts
        --with Emphasis on Japan's English Education"
        ・メリル・スウェイン(トロント大学名誉教授)
        ・吉田研作(上智大学教授)
        ・田中茂範(慶応義塾大学教授)
        ・金森 強(松山大学教授)
        ・アレン玉井光江(千葉大学教授)
        ・長沼君主(清泉女子大学専任講師)
17:00-18:30 懇親会



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2007年09月17日

MPI 英語教育フォーラム

 今日、松香フォニックス研究所主催の
 2007 MPI 英語教育フォーラムへ
 行ってきました。

 わたしは去年はじめて参加して
 今回が2回目でしたが、
 本当に楽しい一日でした。

このような児童英語教育関係のイベントへはよく足を運ぶのですが、
ほかのところではない、このフォーラムの良いところというのが、
子どもたちのコンテストもあるというところです。

週に1回英語をやってきた子たちが、英語を理解し使いこなしている様子を見ると、
こんなにもきちんと成果を出せるものなのだ、と嬉しくなります。

松香先生も強調しておっしゃっていましたが、
「わたしたちがやっていること(児童英語教育)はすばらしいこと」
と自信を持てる瞬間でした。子どもたちから、たくさんのパワーをもらいました。

ようやく小学校での英語活動が「英語活動」という名前で、独立して、
正式導入されようとしていますが、その内容にはまだまだ不満があります。

言語習得にはとても時間がかかります。ましてや、高校卒業までに、
学習指導要領に書かれているような高いレベルの英語を身につけるには、
もっともっとたくさんの時間をかけなければなりません。

英語は「ことば」なので、ほかの科目と違って当たり前です。
TOEFL iBT Speaking Section スコア最下位の日本人、がんばりましょう。
posted by ぴにゃ at 19:27 | Comment(11) | TrackBack(0) | 研究発表・講演会

2007年06月23日

第147回 ASTE 例会「主語の設定で迷う学習者」 − 「は」の処理に関する調査報告 −

【書き込み途中です】


第148回 ASTE 例会
講演:「主語の設定で迷う学習者」 − 「は」の処理に関する調査報告 −
講師:柳瀬和明(日本英語検定協会)
日時:2007年6月23日(土)15:00〜17:00
場所:上智大学L号館 812会議室(中央図書館)
posted by ぴにゃ at 00:00 | Comment(7) | TrackBack(0) | 研究発表・講演会

2007年06月16日

シリーズ 小学校英語教育 − 是非の問いからその先へ 第二回 「バイリンガル教育への批判 − その根拠について考える」

【書き込み途中です】

シリーズ 小学校英語教育 − 是非の問いからその先へ 第二回
「バイリンガル教育への批判 − その根拠について考える」

日時:6月16日(土)14:00〜16:30
講師:唐須教光(慶應義塾大学教授・Yale University Ph.D.)
日本のアメリカンスクールやカナダのイマージョン教育に詳しい
慶應義塾大学の唐須先生が、早期英語教育への批判の根拠について講演。
フリー討議の時間もあります。

母語(日本語)との関係について不安を持つ父母や教育関係者など、
多数の参加をお待ちしています。

会場:慶應義塾大学三田校舎 122番教室(中庭突き当たり・入り口に ATM)
参加費:無料
申し込み:不要
お問い合わせ:地球ことば村事務局
(E-mail:info@chikyukotobamura.org / 電話:03-5798-2828)
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2007年05月26日

第147回 ASTE 例会 「小学校英語教育の意義と課題 − ベネッセの調査から見えてくるもの」

【書き込み途中です】


第147回 ASTE 例会
講演:「小学校英語教育の意義と課題 − ベネッセの調査から見えてくるもの」
講師:吉田研作(上智大学)
日時:2007年5月26日(土)15:00〜17:00
場所:上智大学2号館 508教室
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2007年05月12日

J-SHINE発足3周年記念シンポジウム

【書き込み途中です】

J-SHINE発足3周年記念シンポジウムが5月12日(土)にアイビーホール青学会館にて開催されます。懇親会を除いて参加費は無料ですが、事前予約が必要です。

第一部 【13:30】(受付開始 13:00~)
基調報告「3年間の軌跡とこれからのJ-SHINE」
  吉田博彦 J-SHINE専務理事

第二部 【14:20~16:10】
公開討論&意見交換
「小学校英語の現在における見通しと課題」
  小池生夫 明海大学外国学部学部長
  中山兼芳 元常葉学園大学・大学院教授
  仲田利津子 IIEEC英語教師トレーニングセンター会長
  松香洋子 玉川大学・大学院講師
  吉田研作 上智大学外国学部学部長

懇親会 【16:30~18:00】 参加費:3000円

会場 【アイビーホール青学会館】 03-3409-8181
•東京都渋谷区渋谷4丁目4-25 [地下鉄 銀座線、半蔵門線、千代田線「表参道」下車B1、B3出口徒歩5分 または都営バス(渋谷駅前⇔新橋駅北口)「南青山5丁目」下車]

お問い合わせ・申し込み先
特定非営利活動法人小学校英語指導者認定協議会
Tel:03-3523-2158 Fax:03-3551-3266 support@j-shine.org

詳しいパンフレットは以下のリンクで見てください。
http://www.j-shine.org/20070512.pdf
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2007年04月14日

第146回 ASTE 例会 「教育実習の決め手・勘どころ」

第146回 ASTE 例会
講演:「教育実習の決め手・勘どころ」
講師:菅正隆(国立教育政策研究所・文部科学省)
日時:2007年4月14日(土)15:15〜16:45
場所:上智大学3号館227教室

ASTE(上智大学英語教員研究会)に参加してきました。今回は、学生の教育実習事前授業と兼ねていたので、教育実習へ行く前に確認しておくべき課題や、授業で役立つアクティビティの紹介といった内容でした。

【英語教育の現状と課題】
英語教育関連資料として、まず、平成17年4月22日、国立教育政策研究所発表の「平成15年度教育課程実施状況調査(中学生)」と、平成19年3月3日、文部科学省初等中等教育局国際教育課程発表の「平成18年度英語教育改善実施状況状況調査」を見ていきました。

前者の調査のうち取り上げられていた項目は4つで、それぞれ「英語の勉強は好きだ。」「英語の勉強は大切だ。」「英語の授業がどの程度分かりますか。」「授業がどの程度分かりますか。」です。
 「英語の勉強は好きだ。」の項目では、回答を「そう思う」「どちらかといえばそう思う」「どちらかといえばそう思わない」「そう思わない」「分からない」から選択しています。結果、学年が上がるに従って、英語の勉強が好きだという「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の回答率が低下し、逆に英語が好きでないという「どちらかといえばそう思わない」「そう思わない」の回答率が上昇しています。特に第1学年と第2学年での差が大きく、2年生になって英語が嫌いになるというパターンが多いのではないかと考えられます。
 「英語の勉強は大切だ。」の項目でも同様に、回答を「そう思う」「どちらかといえばそう思う」「どちらかといえばそう思わない」「そう思わない」「分からない」から選択しています。第1学年と第2学年を比較すると、英語の勉強が大切だという「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の回答率が低下し、逆に大切だとは考えない「どちらかと思えばそう思わない」「そう思わない」の回答率が上昇しており、これは「英語の勉強が好き」という項目と同じ傾向です。ところが第2学年と第3学年を比較すると、第1学年での回答の割合までは及びませんが、英語の勉強が大切だとする回答が増え、大切でないとする回答が減っています。これは恐らく、英語の勉強は好きではないが、受験勉強で英語が必要となったという状況による結果ではないかと考えられます。
 「英語の授業がどの程度分かりますか。」の項目では、回答を「よく分かる」「だいたい分かる」「分かることと分からないことが半分くらいずつある」「分からないことが多い」「ほとんど分からない」から選択しています。英語の授業がわかるという「よく分かる」「だいたい分かる」の回答率は学年が上がるに従って低下していき、逆に「分かることと分からないことが半分ずつある」「分からないことが多い」「ほとんど分からない」の回答率が上昇しています。ここでも割合の変化を見ると、第1学年と第2学年の差が大きく、やはり2年生になると英語の授業が分からなくなるといった傾向が見られます。
 「授業がどの程度分かりますか。」の項目では、各教科(国語、社会、数学、理科、英語)ごとに「よく分かる」「だいたい分かる」「分かることと分からないことが半分くらいずつある」「分からないことが多い」「ほとんど分からない」から選択しています。今回は教科ごとの「分からないことが多い」と「ほとんど分からない」の割合を足したものが提示されていました。第1学年と第2学年を比較すると、全科目共通して、第2学年の方が分からない割合が高くなっています。しかし、その割合の上昇率は英語が一番です。さらに、第2学年と第3学年を比較すると、第3学年で、英語以外の4科目では分からない割合が低くなっている一方で、英語に関してはさらに高くなっています。英語は他の4教科に比べて理解しづらく、さらに他の教科に比べて受験勉強の成果が出にくいという傾向が見られます。

後者の調査からは「英語の授業における英語の使用状況」について取り上げ、中学校においては各学年ごとに、高等学校においては各科目ごとに4つの選択肢「英語の使用はほとんどあるいは全くない」「英語を用いることはあるが半分またはそれ以下である」「半分以上は英語を用いて行っている」「大半は英語を用いて行っている」から回答しています。
 中学校での各学年ごとの回答を見ていくと、各学年においても最も回答率が高いのは「英語を用いることはあるが半分またはそれ以下である」という回答で、学年が上がるのに伴い上昇しています。次に回答率が高いのが「半分以上は歯英語を用いて行っている」で、学年が上がるのに伴いその割合は低下しています。つまり、学年が上がるにつれて授業における英語の使用率は下がるのではないかと考えられます。
 高校での各科目ごとの回答を見ていくと、やはり英語を積極的に使うと予想される OCTと OCUで「半分以上は英語を用いて行ってる」「半分は英語を用いて行っている」の回答率が高く、それ以外の英語T 、英語U 、リーディング、ライティングでは「英語を用いることはあるが半分またはそれ以下である」の回答率が著しく高く、「英語の使用はほとんどあるいは全くない」の回答率と合わせると約9割にまでなっています。OC の授業で比較的英語を使用する傾向にはあるが、英語の科目4つを全体的に考えると授業における英語の使用率が低い傾向にあることが分かります。

最後の資料として、高等学校(英語T)教科書難易度別採択数を平成17, 18, 19年度使用分で見ていきました。教科書はそれぞれ、難・中・易の3つの難易度に分けられています。すると年々教科書全体の総数が減っており、難と易の教科書がそれぞれ減少しています。中の教科書も平成17年度と18年度を比較すると18年度に減少しているのですが、19年度には増加し、これは17年度よりも増えています。割合で考えていくと、採択する教科書の難易度がだんだんと低くなっているのではないかと考えられます。

調査結果全体を通して考えられることは、生徒は中学2年生で英語が分からなくなり、その英語力は年々低下しているということだと思われます。

【教育実習以前の課題】
教育実習へ行く際に気をつけることが4つ挙げられました。「挨拶」「身だしなみ」「時間厳守」「他教員との関係」です。「他教員との関係」というのは、学校の考え方を理解し、そこに実習生独自の色を付けていく形で関わっていくということだそうです。これら4つのポイントは、教育実習に行くからというよりは、社会に生きる大人としての常識はしっかりと身に付けておかなければならないという当然のことだと感じました。

【授業以前の課題】
実際に授業に入る前の課題として、大きく4つ挙げられました。「目標を持つ」「必携アイテム」「声の大きさ」「目線」です。特に「目標を持つ」ということに関しては、2〜3週間のスパン、1日1日で、それぞれ目標を立てることが大切とのことでした。

【授業の課題】
実際の授業での課題となる点は、どれも重要ものばかりでした。「生徒名の記憶」「立ち位置」「黒板使用術」「ティーチャー・トーク」「褒め上手は授業上手」「学習指導案作成のポイント」「内容(音読、タスク、内容把握等)」とかなり実践的なもの、かつ、指摘されなければなかなか気が付かないものです。
 「生徒名の記憶」は、生徒と教師の関わり合いの中で大切なことです。自分の名前を知っているということで、生徒は先生が自分のことをちゃんと見てくれていると感じます。これは生徒の学習意欲へとつながる大切な要素だと思います。
 「立ち位置」では、生徒に余計なプレッシャーを与えないよう気をつけることが大切です。具体的に言うと、机間指導で上から見るといった行動は避けるということなどです。個人的に指導する際には目線を同じ高さにして、生徒を安心させることが大切です。また、生徒から意見や質問、発表などの発言があった場合には、その生徒のすぐそばで応対するのではなく、その生徒からなるべく離れて応答する方が、クラス全体に伝わります。
 「黒板使用術」は、別に特別なことをするというわけではありません。単に、生徒が見やすい板書を行うということです。文字の大きさ、色、まとめ方などです。事前に研究しておかなければ、その場になって初めてではなかなか上手く行かないとのことです。
 「褒め上手は授業上手」というのは、生徒の学習意欲を高めるという点においてとても重要です。きっと勇気がいったであろう生徒の発言に対し、先生はその発言や努力、またはその発言をする様子を褒め、生徒のさらなる積極性を促すべきということです。間違えても構わない、むしろ間違えた方がみんなの勉強になる、そういったことを生徒に知ってもらうことで、英語に対して変な壁を作らないようにすることが大切です。そうすることが、活発的な授業へとつながり、積極的な言語活動が行われるようになると考えられます。
 「内容」については、このあとアクティビティ例として具体的に紹介していきます。
いずれにしても、鍵となる考え方は「生徒の立場になって考える」ということです。

【アクティビティ例】 ※当日実際にパートナーと行いました
☆教科書の音読
パートナーとお互いに教科書の本文を読み合います。相互に評価し合うことによって、切磋琢磨していくことができます。

☆あいさつデモンストレーション
ダイアログは、一般的で簡単なものです。

A: Nice to meet you. I'm ____.
B: Nice to meet you, too. My name is ____.
A: Where are you from?
B: I'm from ____, Japan. How about you?
A: ____, Japan.
B: Oh, I see.

しかし、ただお互いに言い合うだけではありません。そこには、3つの条件があり、これを守らなければならないのです。1つ目は、握手をするということ、2つ目は、アイコンタクトをとるということ、そして3つ目は、2人の会話を5秒で終わらせるということです。実際にやってみると、5秒では到底終わりません。なので繰り返し挑戦していきます。1度目よりも2度目、2度目よりも3度目と、やっていくうちにだんだん時間に間に合うようになっていき、4度目くらいで多くのグループがクリアします。やればやるだけ上手くなる、という自信をつけることのできるアクティビティです。
実はこのアクティビティには裏があり、実はカウントをしている先生は、回数を重ねるごとに少しずつ時間を増やしていたのです。しかし、やっている側はほとんどそれに気がつきません。心理を上手く利用していると感じました。

☆発音クイズ
ミニマルペアの単語を使った発音クイズです。提示された2つの単語のうち、どちらが発音されたかを聞き取ってマークします。

(1) zen, then (2) closing, clothing (3) breeze, breathe (4) tease, teethe

最初はペアワークでお互いに出題者、解答者となり、全問終わったところで答えの確認をしていきます。そして今度は生徒のうちの一人に出題者になってもらい、他の生徒全員が解答者となって、最後に答え合わせをします。この際に気をつけることが出題者を褒めること。常に生徒のやる気を引き出すことを忘れてはいけません。

☆歌詞のディクテーション
今回は、DREAMS COME TRUE の "LOVE LOVE LOVE -English Version-" で行いました。全部で10カ所の空欄があります。空欄を作る際のポイントとしては、必ず一番最後の歌詞の中にも作るということです。そうしなければ、穴が埋まった安心感から、生徒がリスニングに集中しなくなることが予測されるからです。
さらに上級レペルの問題を作るとしたら、穴埋めでないところに1つ、実際には歌われていない単語を入れておくということです。そうすると、間違い探しのために、生徒はさらに集中してリスニングを行うことになります。

【質疑応答】
学生の中から次のような質問がありました。

立ち位置の話で、生徒から意見や質問などの発言があった際には、教師はなるべく生徒から離れてクラス全体に聞こえるように応答すべき、とありましたが、生徒が間違えてしまった場合みんなに知られて恥ずかしいと思ってしまうように考えるのですが。

これに対し、管先生は、次のようにおっしゃいました。

「間違えたら恥ずかしい」という考え方を生徒の中から取り除いてやることが教師の重要な勤めです。クラス全体に聞こえる場でのやりとりこそ、むしろ「間違いは決して悪いことではなく、逆にいいことだ」ということを提示する絶好の機会と考えます。

私も質問をした学生と同じように感じていたのですが、説明を受けて納得しました。

今回の講演を通じて、私が学校という場で教育を受けてきた中で、「当たり前」とされてきたことの恐ろしさと、それが学習にもたらしてきた弊害、そしてそれらは、教師が知るべき事実であり、さらに取り除くための努力をしていかなければならない、ということを知ることができました。これは、講演の冒頭で管先生がおっしゃっていたことなのですが、

EIGO(英語)から、I(愛)を取ると、EGO(エゴ)になってしまう。

まさにこれだと感じました。すべては生徒に対する愛だと思います。それがない教師は、ただ自分のエゴで生徒に授業を押し付けているだけではないでしょうか。
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2006年04月22日

ASTE 第140回例会

第140回例会
タイトル : 「中学校及び高等学校外国語科の目標と課題―学習指導要領に照らして」
講師 : 太田 光春(国立教育政策研究所教育課程調査官・文部科学省教科調査官)
日時 : 2006年4月22日(土)15時〜17時
場所 : 上智大学3号館123室

レクチャーというよりは、みんなで考えるという内容で、全て英語で行われました。講師の太田先生はもちろん、意見を求められた学生も英語で述べ、パートナーとのディスカッションの時間も英語でした。

今回のテーマは、"The Course of Study"(学習指導要領)。中学校と高校の学習指導要領に記載されている、Overall Objectivesを読み、その4つの主要な目的を確認し、What are the Realities?ということで、実際は先生たちが何を目的に授業をしているか、いくつか提示されたものについて問題点を考えていきました。

例えば、The Course of Study for Upper Secondary SchoolのOverall Objectivesには、"To develop students' practical communication abilities such as..."とあり、この"such as"のあとに4つの主要な目的が書かれていますが、とにかくpractical communication abilitiesを身に付けることを目的としています。ここで現実を考えると、"There are teachers who pay attention to enterance examinations rather than to communication abilities"という状態で、これは何が問題なのかみんなで考えていく、といった感じです。

最後の質問の時間は、学校の先生たちが批判的な意見を出していたので色々と考えることができ興味深かったです。

とにかく本当に充実した時間で、行ってよかったと思いました。英語教育に関心のある人なら行くべきだと思いました。
文科省の人がこうして話しに来てくださるなんて滅多にないでしょうし、またそういう人たちの意見がSLAの研究に基づいたものだというのは私にとって新鮮でした。
本当にこの日のおかげで文科省が教師に何を望んでいるのか、理解することができました。
posted by ぴにゃ at 00:00 | Comment(279) | TrackBack(0) | 研究発表・講演会

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